リオ五輪男子400リレー銀メダルの快挙に思う

 

  リオ五輪の日本チームの活躍は本当に感動の連続だったが、とりわけ陸上競技男子400mリレーの銀メダルには本当に驚き、テレビの前で大喝采を送った。彼らの本年の100mのレース結果から見て、相当に活躍するとは思っていたが、まさかアメリカに勝つとは・・・。

 とはいえ、このレースについて私なりに分析したい。400mリレーにおける各選手の100mの記録とリレーでのバトンパスによるマイナスを私の指導する高校のチームでは通常平均-2秒5で計算している。簡単に言えば、11秒0で4名そろえられたら、合計44秒0なので目標タイムは41秒50となり、各地区のブロックのレベルにもよるが、北関東大会ではインターハイに出場できるレベルの記録となる。実際うちのチームの400mリレー最高記録の41秒29はオーバーハンドパスで、ちょうど各選手の合計タイム-2秒50前後となる。

 これを今回の日本チームに当てはめると10秒05+10秒22+10秒01+10秒10=40秒38で37秒60ということで-2秒78となり、各人の加速に合わせて非常にうまくバトンをつなげることが出来たことになる。代表レベルとなるとバトンパスでー3秒前後を狙っていると考えられるので、五輪本番でのー2秒78はまさに選手とコーチの方々のチームワークのたまもので、本当に素晴らしかったと思う。そこで、日本チームが採用しているアンダーハンドパスが注目されている。しかし、私は今回の快挙は、アンダー、オーバー関係なく五輪本番の大舞台でこれほどスムーズなバトンパスをした選手の冷静さがとても見事で、そのパスを確実にしたのがアンダーハンドだったと考えている。すなわち、アンダーハンドだから-2秒78が出たというわけではないと考える。

 その根拠は、毎年インターハイを目標とする私の学校のような平均的な高校チームでも-2秒50前後が目標となることからすると、インターハイ上位を狙うレベルのバトンパスは-3秒前後を目標にしているのではと考えるからである。現在の高校日本記録39秒64をはじめ、近年では多くの高校チームが40秒を切るタイムを出しているが、高校のトップチームの多くはオーバーハンドパスを採用している。県大会のレベルでも、個人では目立たなくても、リレーになると強いチームは多い。オーバーでもアンダーでも―3秒前後はレベルの差なく多くの高校チームが実現しているのではないのだろうか。今回の日本代表選手が高校時代にオーバー、アンダーのどちらを採用していたかはわからないが、ジュニアからトップ選手だった彼らが経験してきた高校時代のバトンパスの経験値が、五輪で見事に生かせたのではないかと考えると、高校生を教える指導者として大変うれしく、誇らしく感じる。