箱根駅伝にジュニアの中距離種目イベントを!

 近年の箱根駅伝の人気は本当に凄いと思う。ここ半世紀以上にわたって、日本が世界と戦える種目の筆頭は長距離であり、マラソンといわれ続けてきた。実際、五輪や世界陸上でのマラソンの実績は、日本の誇るものであり、箱根駅伝が日本の長距離の伝統を支えてきたことに大きく貢献してきたことに異論はない。しかし、この箱根駅伝人気が近年の日本の長距離走のレベルアップに貢献しているかについては疑問である。

 近年の長距離レースの高速化にこの20年間日本は完全に取り残されてきている。この原因は多々あると考えられるが、私は日本では子供のころから長い距離を走らせすぎているのではないかと感じている。日本の場合子供のころに長距離走が速いとなると、中学からすぐに長距離専門の練習になってしまう場合が多く、スピードが出せる動きよりも、長い距離が走れる動きをよしとする傾向にある。すると、高校に入った頃にはすでに長い距離の適正はあるが、スピードは短距離選手には劣る選手が多くなる。

 本来は高校時代の練習は中距離中心に行ない、大学入学後に距離を伸ばすのが良いと考えられる。このパターンで成功した選手の筆頭が瀬古利彦選手であるが、彼のような運動効率よく距離が稼げて、いざとなればスピードが出せるような「着地が柔らかく、脚がしっかりと折りたたまれる疾走技術」が「彼の動きは天性のもので、真似は出来ない」という言葉で風化され、ジュニア期の走り方の技術指導に生かされていない現状は非常に残念だ

 箱根駅伝人気は今や国民的で、中高校生にも浸透しているので、800m、1500mの速い選手は高校生になると高校駅伝のために5000、10000mまで距離を伸ばしてゆく。本来はジュニア期では800m、1500mの距離が花形種目になるべきであるのに、駅伝をチームの目標の中心に据えることで、スピードよりスタミナを重視した練習をする学校は多い。 

 効率が良くスピードが出せる疾走動作を身に着けるためには、子供のころから技術を習得する必要があるが、ジュニア期に走る距離を伸ばしたペース走的な練習を増やすことで、スピードが出ない走り方が身についてしまうのは非常に残念だ。そこで、中距離をジュニア選手のための人気種目にすることで、効率よくスピードが出せる技術をジュニア期の選手たちが身につけられるような環境作りが求められていると私は思う。スピードの切り替えができ、なおかつ将来距離を伸ばして行けるようなランナーの発掘は東京五輪とその先に向かっての急務でもある。そのような日本のジュニア長距離界の環境を改善するための方法の一つとして、箱根駅伝を利用した男女ともに参加できるイベントの開催を提案したい。

 

 箱根駅伝レース時の道路封鎖時間を利用した男女ジュニア選手のロードレース大会

 例    小学生男女 4年生 400m 5年生 600m 6年生  800m  

    中学生男女 1年生 1000m 2年生1000m 3年生 1000m

    高校生男女 1・2・3年生  800m 1500m 

 *短時間で終了させなければならないので、参加選手はあらかじめ予選会を開催し、通過した選 

 手のみとする。 

*同様の手法で各地で開催されるマラソン大会でもジュニア中距離種目大会開催も提案したい。